コラム

老化細胞の加齢関連疾患に対する影響について

Red blood cells

老化細胞は加齢関連疾患に関与し、循環器疾患や生活習慣病の原因以外にも細胞老化が関与している可能性があります。
これらの疾患では、老化マーカーであるp53/p21やp16、テロメアの短縮、老化細胞から分泌される炎症性遺伝子群(senescence-associated secretory phenotype SASP)因子などが増加していることが報告されており、細胞老化を抑制すると病態が改善することも報告されています。
したがって、細胞老化の抑制は加齢関連疾患の治療に有用と考えられます。ただし、細胞老化はがん化を防ぐメカニズムでもあり、細胞老化を抑制するとがん化が促進される可能性もあります。
最近では、senolysis(老化細胞除去治療)という新しい概念が提唱され、老化細胞を治療の標的とするsenolytics(老化細胞除去薬)の研究が進んでいます。
さまざまな加齢関連疾患がこの研究の対象となっており、大きな注目を集めています。
2015年に報告された最初のsenolyticsは、抗がん剤のダサチニブとフラボノイドのケルセチンの組み合わせです。
この組み合わせは、老化細胞がアポトーシス(細胞の自己崩壊)に耐性を持っているという仮説に基づき、そのシグナルをブロックすることで老化細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導することを目的としています。このような老化細胞が生き残ろうとするための別のシグナルをブロックするsenolyticsが次々と開発されています。
現在、senolyticsはさまざまな加齢関連疾患の予防や治療に期待されています。
マウスレベルでの研究では、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺線維症などの呼吸器疾患、高血圧や心不全、動脈硬化などの循環器疾患において有用性が報告されています。
さらに、糖尿病や骨粗鬆症、白内障や緑内障、腎不全、サルコペニア、フレイル、変形性関節症などでも効果が期待されており、研究領域は急速に広がっています。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

参考文献:
1)Hayflick L, Moorhead PS. The serial cultivation of human diploid cell strainsExp Cell Res. 1961; 25: 585-621.
2)Suda M, et alSenolytic vaccination improves normal and pathological age-related phenotypes and increases lifespan in progeroid mice.Nature Aging. 2021; 1: 1117-1126
3)『老化細胞除去で健康寿命延伸を目指す』順天堂大学大学院医学研究科循環器内科教授 南野 徹:ANTI-AGING BUSINESS No5 2022-12:22-25

プロフィール

松澤 宗範
松澤 宗範青山メディカルクリニック 院長
近畿大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科入局し、佐野厚生総合病院形成外科へ。その後、横浜市立市民病院形成外科として務める。埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科を経て、銀座美容外科クリニック新宿院院長として従事する。その後、青山メディカルクリニック開設し、今に至る。

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