コラム

脳疾患に対するエクソソームの効果

脳卒中モデル動物に対する間葉系幹細胞(Mensenchymal stem cell: MSC)の治療効果においてMSCのエクソソームが関与していること分かっています。

全身投与されたMSCが神経栄養因子や血管新生促進因子などの分泌を介して、脳卒中による障害に対し効果を示すことは以前から知られていました。

そしてさらにMSCがエクソソームを介して分泌するmiRNAが治療効果に寄与することが明らかとなりました。

miRNA-133b(miR-133b)はパーキンソン病や脊髄損傷の回復を促進することで知られていますが、脳卒中モデルラットの脳内にMSCを投与すると、その発現レベルが高くなることが示されました。

また、試験管での実験でMSC-エクソソームを神経細胞に与えると、miR-133bの発現上昇に伴い、神経突起の伸長が促進されました。

さらに、MSCを脳卒中モデルラットに尾静脈から全身投与すると、MSCが脳へと移行して神経障害を和らげることが示されました。このMSCの治療効果は、MSCにmiR -133 bを過剰発現させることで増大し、miR-133 bをノックダウンすることで抑えられることが分かりました。

さらに最近の報告では、MSC-エクソソームを尾静脈投与することでも、MSCの細胞投与と同様の効果が現れることが確認されています。

MSCおよびMSC-エクソソームがどのようにして血液脳関門をくぐり抜けて脳実質組織に届いたのか、といった詳細のメカニズムは明らかにされていませんが、エクソソーム中のタンパク質やmRNAに加え、miRNA が治療効果に大きな影響を与えていることが分かっています。

また、脂肪由来MSC-エクソソームがアルツハイマー病に対する治療可能性を秘めていることが判明しました。

アルツハイマー病の病態の大きな特徴の1つは、脳内アミロイドβ(Aβ)の過剰蓄積であり、これは Aβの産生と分解のバランスが崩れた結果引き起こされます。

脳内でのAβ分解の速さを決める酵素は、                     II型膜タンパク質neprilysin(neutral endopeptidase: NEP)です。          骨髄由来MSCと脂肪由来MSCを用いた研究では、骨髄由来MSCに比べ脂肪由来MSCがより高くNEPを発現し、Aβの分解にもより高効率に寄与することが判明しました。
さらに、脂肪由来MSCのエクソソームにもNEPが存在し、酵素活性を示すことが発見されました。

今後、脂肪由来MSC -エクソソームを用いたアルツハイマー病に対する治療の可能性について、さらに研究が進められています。

青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範

参考文献

・【エクソソームとDDS】新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来エクソソームの応用可能性(解説/特集)
Author:勝田 毅(国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野), 落谷 孝広Source: Drug Delivery System (0913-5006)29巻2号 Page140-151(2014.03)

プロフィール

松澤 宗範
松澤 宗範青山メディカルクリニック 院長
近畿大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科入局し、佐野厚生総合病院形成外科へ。その後、横浜市立市民病院形成外科として務める。埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科を経て、銀座美容外科クリニック新宿院院長として従事する。その後、青山メディカルクリニック開設し、今に至る。

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