コラム

運動療法によるアンチエイジングの有効性と限界

Women running in the park

運動は心血管老化に対する有効なアンチエイジング療法です。

研究においても、身体活動量のもっとも高いグループでは、加齢に伴う心臓リモデリングが軽度でした。

運動はテロメア短縮を抑制し、 ミトコンドリア機能障害を軽減し、細胞老化自体も抑制します。

その結果SASP(senescence-associated secretary phenotype)が抑制され、 心筋細胞の減少は軽減し、繊維化の抑制をきたすことで心臓老化を緩徐にすると予想されています。

しかし、これまでの基礎研究の成果から、カロリー制限(CR)は老化を遅延させ、平均寿命、最長寿命ともに延長させますが、運動は平均寿命を延長させるものの最長寿命は延長させないと結論されています。

運動はなぜ最長寿命を延長できないのでしょうか。

それは運動はインスリン/IGF-1シグナルを抑制せず、むしろ賦活化することが一因と考えられます。

一方CRはインスリン / IGF-1を抑制します。

インスリン/IGF-1シグナルの抑制を目的とした実験では、寿命延長はヘテロ接合体でのみ認められたり雌のみだったりと、単純な結果ではありませんでした。

このことは、インスリン/IGF-1シグナルを単純にon/offにするだけでは、唯乳類における寿命延長は達成できないと考えられます。

インスリン/IGF-1シグナルは、運動による生理的心肥大の原因とされますが、一般的にさまざまなストレスに対しては心保護的役割を担うことが明らかにされています。

インスリン/IGF-1シグナルの賦活化は健康寿命延長に貢献しますが、最長寿命の延長には、インスリン/IGF-1の抑制が必要という相反する役割がある可能性があります。

 

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

 

参考文献:
1) Rodriguez CJ. Diez-Roux AV, Moran A, et al. Left ventricular mass and ventricular remodeling among Hispanic subgroups compared with non-Hispanic blacks and whites: MESA(Multi-ethnic Study of Atherosclerosis).J Am Coll Cardiol. 2010:55:234-42.
2) Turkbey EB, Jorgensen NW. Johnson WC, et al Physical activity and physiological cardiac remodelling in a community setting: the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA).Heart 2010:96:428
3)心臓老化とアンチエイジング医学Cardiac aging and anti-aging medicine
新村 健Ken Shinmura兵庫医科大学総合診療内科 アンチエイジング医学―日本抗加齢医学会Vol.18No.3

プロフィール

松澤 宗範
松澤 宗範青山メディカルクリニック 院長
近畿大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科入局し、佐野厚生総合病院形成外科へ。その後、横浜市立市民病院形成外科として務める。埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科を経て、銀座美容外科クリニック新宿院院長として従事する。その後、青山メディカルクリニック開設し、今に至る。

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