NKT細胞標的治療(RIKNKT)

NKT細胞標的治療

最新のがん免疫療法という選択肢

がん免疫治療は、ヒトの最も基本的な生体防御機構である「免疫力」を活用し、副作用も侵襲性も殆どありません。標準治療とも併用可能です。また近年、ノーベル賞生理学・化学賞で注目され、大きな可能性が秘められていることが明らかとなりました。

NKT細胞標的治療は、理化学研究所の基礎研究と国の先進医療Bとして行われた千葉大学の技術を元に、開発した治療法です。2016年より一般の医療機関において広く治療を開始し、既に多くの症例数があり、従来の免疫治療と比較して非常に大きな抗腫瘍効果が確認されています。

当院で行うNKT細胞標的治療は、理化学研究所認定ベンチャー(株)理研免疫再生医学のRIKNKT®を使用しており、その効果は、海外にも注目されています。

※RIKNKTは,理研免疫再生医学株式会社の登録商標です。

従来の免疫療法との違い

NKT細胞標的治療とは…
がん患者自身のNKT細胞を標的とし、それらを活性化することを目的とした治療法です。患者末梢血細胞を加工して作ったがんワクチンを患者さん自身に注射する事で、体内のNKT細胞を活性化し、がんの進行・再発・転移を予防する治療法で、従来のがん免疫医療とは異なる大きな特徴を有します。

治療の流れ(1クール)

治療の流れ(1クール)

1. 患者様は通院のみで、自身の体調や都合に合わせて自由な治療スケジュールを立てることが可能です。

2. 医師による初診、血液検査、詳細な治療内容の説明の後、血中の単球成分を採取するための成分採血を実施します。
4回分の投与に十分に必要な量を確保します。所用時間は3~4時間程度です。患者様は同日、帰宅することができます。

3. 採取された単球は細胞調整センターで、7日間かけて複数の工程を経て、十分に成熟した、NKT細胞を活性化させる特殊な細胞(目的細胞)に変化します。
目的細胞は、その後4日間かけて複数の厳格な検査により安全性が確認されます。

4. 目的細胞は、皮下への注射(2cc程度)か、上腕部での点滴により投与され、標準で2週間おきに4回に分けて実施されます。
*投与後、副作用として軽い発熱や倦怠感が見られる場合がある事が報告されています。

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1クール終了後に、画像診断や腫瘍マーカー、免疫機能検査などによって治療効果を確認し、その後の治療方針等が決定されます。

NKT細胞標的治療の副作用について

成分採血(アフェレーシス)に伴う副作用 

ルート確保に関すること
通常、腕静脈に確保しますが、両腕に十分な血管がなく、大腿静脈にルートを確保する場合、稀に感染や出血の合併の可能性がありますが、消毒を十分行い、習熟した医師が行います。また救急カート等の設備を整えて、出血の対応を致します。

■迷走神経反射
精神的な緊張、不安、体調不良等の原因により血管迷走神経反射が起こり、約10%の方でめまい、吐き気、嘔吐が出現し、場合によっては意識障害、血圧低下、徐脈、さらに痙攣や失禁がみられることもあります。このような場合には採取を一時休止もしくは中止し、適切な処置を施します。

■クエン酸反応
成分採血は血液が固まらないように抗凝固剤を加えながら採血します。抗凝固剤に含まれるクエン酸により低カルシウム血症をきたすことがあります。軽い症状では口唇や手指のしびれ感が出現し、進行により手指のつっぱり感が出現します。軽い症状の場合には採取速度を下げることで改善しますが、改善がみられない場合には薬剤を使用します。

■血小板減少
アフェレーシスの際に血小板も一部除去されるため、アフェレーシス後に血小板の減少が高頻度にみられます。

治療に伴う副作用 

■本治療はご自身の血液細胞を用いた治療のため、特に強い副作用を認めることはありません。治療薬の接種は皮下注射で行いますが、接種部位が1〜2日間赤く腫れる場合がありますが、その頻度も少なくすぐに治り特に治療が必要なことはありません。


前出の治療対象の除外疾患に記載されていますように、自己免疫疾患もしくは免疫異常によると考えられる疾患がある方、副腎皮質ステロイドによる治療を受けている方は、NKT細胞標的治療により悪化する可能性がありますので、必ずご相談ください。

当院は、理化学研究所と千葉大学が臨床試験を行ってきたNKT細胞標的治療を株式会社理研免疫再生医学が改良・実用化した新しいNKT細胞標的治療「RIKNKT(R)」を多く行っている医療機関のひとつになります。技術的な点につきましては株式会社理研免疫再生医学の担当者とも面談が可能ですのでご希望の場合にはご相談ください。

NKT細胞標的治療手順

提携医療機関に外来(提携医療機関はご紹介いたします)
成分採血(アフェレーシス)
約3-4時間

成分採血した単球(白血球の1つ)を細胞培養施設に移送します。

細胞培養室
分化誘導因子を添加して、単球を樹状細胞へと分化培養します。

細胞作成(1週間)
樹状細胞に免疫機能活性物質を添加して引き続き培養し、
細胞数などを確認します。

特異的機能保有物質が結合された樹状細胞を院内製剤として使用します。

提携医療機関に外来
皮下注射により体内に樹状細胞を戻します。
NKT
細胞標的治療では、2週~4週間毎に4回にわたって樹状細胞を戻します。

成分採血した単球(白血球の一つ)を培養して樹状細胞に分化させます。

この樹状細胞が司令塔となり、がん細胞を攻撃します。