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松澤 宗範院長のエクソソームに関するコラム紹介
トカゲのしっぽは切り離されてもまた元通りになります。
トカゲほどではありませんが、人間にも、もともと「再生する力」があります。
再生医療とは、機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞を積極的に利用して、その機能の再生をはかるものです。
ケガや病気などによって失ってしまった機能を、いわゆる“化合物”である薬でケガや病気を治療するのではなく、人のからだの「再生する力」を利用して、元どおりに戻すことを目指す医療です。
幹細胞は、自己複製能と様々な細胞に分化する能力(多分化能)を持つ特殊な細胞です。
この2つの能力により、発生や組織の再生などを担う細胞であると考えられています。
幹細胞を用いた再生医療は、患者様の体外で人工的に培養した幹細胞等を、患者様の体内に点滴や注射などで移植することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる治療です。
また、幹細胞培の培養過程で得られる幹細胞培養上清・エクソソームは幹細胞治療と同等の効果があると期待されています。
ヒト幹細胞培養上清は、ヒト間葉系幹細胞を培養した際の上澄み液を濾過したものです。
幹細胞から分泌された500種類以上もの成⾧因子やサイトカインなどの生理活性物質が、体内にある再生能力の高い細胞にはたらきかけることで組織の再生を促すなど効果があり、美容や医療への様々な効果が期待されています。
エクソソームはヒト幹細胞培養上清から単離したものであり、多くの疾患に効果が期待されています。
エクソソームは細胞と細胞の情報コミュニケーションを担う物質です。
全身の体性幹細胞を活性化するほか、高い皮膚再生・血管再生作用、複数の抗炎症作用などが確認されています。
美肌、しわ・しみの改善、アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患に効果が期待されています。
SCSはclass1000、class10000で管理されたクリーンルーム環境内で生産されています。
幹細胞治療で行っている品質検査と同様の手順を踏み、第三者機関に検査を依頼することでより厳しい基準で安全性の確認を行っています。
再生医療では、
アルツハイマー型認知症、
間質性肺炎、
糖尿病、
脳梗塞、
脳血管障害、
慢性疼痛、
肝障害、
アトピー性皮膚炎、
美容(肌再生)、
AGA(薄毛)、
ED(勃起不全)
スポーツ障害、
肘や膝、股関節などの関節症
の治療に期待されています。
Guo et al.(2020), alkzhemer’s Research&Therapy.,12:109
痴呆は世界で5千万人で、2050年までに1憶5千万人に増加すると推測されます。
痴呆の50-60%がAlzheimer’s disease (AD) で、病因は分かっておらず、加齢により増加します。
ADは脳の神経細胞変性を起こす疾患で、不可逆的な神経細胞死により進行性の認知機能低下を示すことが特徴です。
AD病態の進行(悪化)には、神経の炎症反応が関わっていますが、現在、AD病態の進行を止める医薬品による治療法はありません。
ADの幹細胞治療は神経の炎症反応がかわっているので、幹細胞による抗炎症効果、神経細胞保護作用が期待されています。
肺の間質と呼ばれる部分を中心に炎症が起こる病気の総称です。炎症によって徐々に肺胞壁が厚く硬くなります(線維化)。
そうなると肺がうまく膨らまなくなるため、息苦しさを感じたり咳が出たりします。進行すると呼吸不全になることもあります。
間質性肺炎への間葉系幹細胞投与の効果は動物モデルで示されており、臨床試験も行われ効果が期待されています。
臨床での間葉系幹細胞の静脈内投与で肺の炎症や肺線維化に効果があることが期待されていますが、効果のメカニズムについては、間葉系幹細胞が肺に到達し作用することより、間葉系幹細胞から放出されるサイトカインなどやエクソソームなどによる部分が大きいと考えられています。
このことから、培養上清にも効果が期待されています。
疼痛(Pain)とは、実際に何らかの組織損傷が起こったとき、または組織損傷を起こす可能性があるとき、あるいはそのような損傷の際に表現される、不快な感覚や不快な情動体験です。
(International associations for Study of Pain, 1979)
組織の実質的な刺激は、物理的刺激、あるいはセロトニンやブラジキニンなどの疼痛物質による化学的な刺激で、これを疼痛神経終末端が感知し、電気的なシグナルに変換し温痛覚求心経路である外側脊髄視床路を通過し、大脳の中心後回が痛みとして認識した結果が疼痛となります。
間葉系幹細胞またはその培養上清の疼痛への効果については、鎮痛剤のように神経系への作用により痛みを抑える効果に加えて、疼痛を起こしている疾患自体の治療効果(抗炎症効果など)によって疼痛を軽減する効果が期待されています。
スポーツにおける急性損傷は予測をすることも予防することも困難です。
スポーツや臨床の世界では、損傷後の修復、回復、機能を最適化することが必要とされています。
21 世紀になって、回復を促進し、スポーツへの復帰を促進するために、スポーツ障害治療において再生医療の分野が急速に成⾧しています。
スポーツ分野における再生医療は、主に軟骨、腱、靭帯、半月板および骨格筋の損傷の治療に期待されています。
Stewart (2021), Emerging Topics Life Sci., 5, 563-573.
左図に,スポーツ外傷(軟骨損傷など)の治療のための,幹細
胞やバイオエンジニアリングの手法について示しました。
幹細胞の移植では、移植細胞そのものより,移植細胞と宿主組織との相互間のシグナル伝達が重要な役割を果たしており,細胞外小胞(エキソソーム) による組織自己修復の促進について研究が行われています。
肩腱板断裂は、一般的に重大な痛みや障害を引き起こす可能性がある筋骨格損傷です。
腱の治癒が十分でない場合は、⾧期に渡り大きな問題が継続することとなります。
間葉系幹細胞(MSC) 療法は、メディエーターとエクソソームと呼ばれる細胞外小胞の放出を介して肩筋腱板修復後の治癒を改善することが期待されており、エクソソームは、腱の再生に重要な役割を果たします。
Connor et al.(2019), J. Bone and Mineral Metabolism, 37, 759–767
外傷性脳損傷(TBI) は、世界中の死亡および身体障害の主な原因の1 つです。臨床試験から有効な治療法は確認されていません。
間葉系幹細胞(MSC) による治療は、実験的脳損傷モデルにおいて実質的な治療効果を発揮するという結果が示されています。
MSC の治療効果は、可溶性因子に加えて、エクソソームの生成と放出に起因する可能性が示唆されています。
Xiong, et al. (2017) Natural Regeneration Res., 12, 19-22.
MSCs から分離されたCD63 GFP タグ付きエクソソーム(緑色のスポット) は、TBI ラットモデルに静脈内投与しました。
エクソソームは脳内のニューロンや星状細胞に取り込まれ、機能回復が期待されています。
骨治癒段階でエクソソームによって調節されることが示唆される重要な要因
Pourakbari et al.(2019), Life Sciences 236, 116861
変形性関節症は、世界的に流行している関節疾患で、患者の生活様式に著しい悪影響を及ぼします。医薬品である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) の効果は、痛みのコントロールに限定され、最終的に軟骨の破壊につながる軟骨の再生にはわずかな効果しかありません。
間葉系幹細胞に由来するエクソソームは、治療効果を得る目的のためにに大きな可能性を示しています。エクソソームは、骨の抗炎症,修復,再構築過程において重要な役割を果たします。
本研究は、変形性膝関節症患者における脂肪由来間葉系幹細胞(MSCs)の関節内注射投与での臨床試験の安全性と、有効性を評価することを目的としています。6か月のフォローアップの後、重大な有害事象は認められませんでした。
Pers, et al.,.(2016), Stem Cells Translational Medicine 5:847–856
重度の変形性膝関節症の症状を示す患者に、自家MSCs を1 回の関節内注射により治療しました。
治療デザインは、低用量(2 x 106 細胞)、中用量(10 x 106)、および高用量(50x 106) のコホート(それぞれ6 人の患者) で行われました。
痛みと機能は、Western Ontario and McMaster Universities Arthritis Index(WOMAC) を指標としました。
すべての用量で、痛みと機能の改善が認められました。
重度の変形性膝関節症を示す患者を、自家MSCsの1 回の関節内注射で治療しました。
dGEmRIC値の増加とT1rho 値の減少は、グリコサミノグリカン・プロテオグリカンの増加の指標で、軟骨の状態が改善していることを示しています。
右側には、対応するdGEMRIC およびT1rho マップを示しており、患者の解剖学的MRI に対応する値の色を表示しました。
軟骨変化におけるこれらの測定値は、軟骨状態が改善したことを示しています。
脂肪由来幹細胞エクソソームを2回/日8週間皮膚に塗布し、皮膚のメラニン量を測定しました。
縦軸に皮膚のメラニン減少効果を示した、治療の2週、4週、8週後のデータでは、幹細胞由来エクソソーム治療により、プラセボ(偽薬)に比較して、メラニン減少効果が有意に認められました。
※エクソソーム含有量2×1010 /mL
0.2 mL/回投与
発毛の司令塔であり、毛包幹細胞と色素幹細胞が存在します。
バルジ領域内の幹細胞のDNAが損傷を受けると毛髪が、十分に育たないことや、白髪になることがあります。
ケラチノサイト成⾧因子が主となって毛母細胞を直接刺激して発毛を促しますが、上図のように他にも多種類の成⾧因子が含まれており、様々な成⾧因子が毛包に働きかけます。
12週間後
女性
患者27人(年齢22–69 年, 平均42±13 年)
髪の密度が105.4から122.7カウント/cm2に増加(P <0.001)
平均髪厚が57.5から64.0μmに増加(P <0.001)。
12週間後
男性
患者25人(年齢28–60 年, 平均49±9 年)
髪の密度が97.7から108.1カウント/cm2に増加(P <0.001)
平均髪厚が65.4から71.8μmに増加(P <0.001)。
Park et al. (2016), Textbook of Aging Skin, pp 205-224.
Lee et al. (2012), Ann Dermatol., 24:2.
2週間間隔で2回の脂肪由来上清液皮膚注射を実施しました。
2回目の注射の2か月後に全体的な肌の質感としわの改善を示しました。
ダーマペン・水光注射などでも同様の効果が期待されています。
Park et al. (2008), Dermatol Surg., 34(10):1323-6.
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