高濃度ビタミンC療法

高濃度ビタミンC点滴に期待される効果

高濃度ビタミンC点滴は、加齢による老化を予防し、健康的に美しくなりたいと希望されている方に特におすすめです。細胞の劣化とは、細胞が酸化することです。
「鉄が錆びる」ことによく例えられます。酸素を吸って生きている私たちは、酸化による老化を避けることは困難です。酸化の進行を遅らせて防止し、さらに改善するのに必要な栄養素のひとつがビタミンCです。
ビタミンCはコラーゲン生成促進やメラニン生成抑制の作用を持つため、美肌・美白とともにシミやソバカスの改善なども期待できます。
通常、ビタミンCやビタミンB群のような水溶性ビタミンは、経コ摂取ではどんなに大量に摂取しても血中濃度はあまり上昇せずに尿中から排世されてしまいますが、点滴によって静脈に直接投与することにより、体内に取り込まれたビタミンCが実に様々な効果を発揮してくれます。
喫煙、大気汚染、紫外線、仕事のストレスなどに囲まれる現代人は、目に見えないところで健康が脅かされています。
ビタミンCには、美
容だけでなく健康を維持するカがあります。

高濃度ビタミンC点滴では次の効果が期待できます

①抗酸化作用・活性酸素の抑制

  • 若々しく健康であるためには、体のサビを防ぐこと、すなわち「抗酸化」が重要です。活性酸素は、老化・心臓病・がんなどの生活習慣病を誘発します。
    ビタミンCは細胞を攻撃する活性酸素から体を守り、抗酸化作用によって体の酸化を防ぎます。
  • ビタミンCは活性酸素から肌を守り、皮脂の分泌を抑制してニキビの予防・改善もします。
  • 紫外線で生まれる活性酸素(フリーラジカル)は老化の大きな原因のーつです。ビタミンCの強い抗酸化力は、活性酸素を除去し、多く の生理機能と遺伝子レベルに作用し、細胞の寿命を延ばし、老化を遅らせる効果があります。

②免疫力の向上

  • ビタミンCは体内のウイルスや病原菌を排除する「白血球」の機能を強化して免疫力をアップします。
  • 特に「リンパ球」の働きを活性化し、抗ウイルス作用のある「インターフェロン」を増やします。そして、免疫力を向上させ、かぜやウイルスなどによる感染症を予防して健康な体を作ります。
  • インターフェロンαβ、γといった3種類のインターフェロンの中で、インターフェロンγはNK細胞(ナチュラルキラー細胞:細菌やウ イルス、癌や工イズなどで障害が出た細胞などを捕食してくれる細胞)の活性を高めるなど、免疫機能維持にも重要な働きがあります。
    ウ イルス、癌や工イズなどで障害が出た細胞などを捕食してくれる細胞)の活性を高めるなど、免疫機能維持にも重要な働きがあります。
  • このようにウイルスと戦う白血球の働きを強化する働きから、かぜにかかりにくくなり、かぜの回復が早まる効果もあるとされています。

③美肌・美白効果

  • 美白効果としては、シミの大敵である「メラニン色素」の生成を抑制します。2月から3月にかけて紫外線の量が増えます。肌が紫外線を浴びると活性酸素が発生し、肌を守るためにメラニンが生成されます。これがシミのもとになります。メラニンを作る色素であるチロシナーゼを阻害し、シミの原因となるメラニン生成を抑制(美白作用)させる働きがあるので、シミの予防・改善が期待されます。
  • コラーゲンの生成を促進して、肌の弾力のもとを増やすことによってハリのある肌をつくります。健康な皮膚や血管、筋肉、骨などを作るのに、コラーゲンは欠かせません。
    高濃度ビタミンC点滴により、コラーゲンの生成が促進されれば、肌のハリ、シワ、たるみの改善やお肌の老化予防にも効果的です。
  • 水分を強力に挟み込み、セラミドの生成を促し、みずみずしい保湿たっぷりの肌にします。

  • 過剰な皮脂の分泌を抑え、きれいな毛穴を保つことでニキビを予防し、抗炎症作用で肌のトラブルを改善します。皮脂腺の働きを抑えることで毛穴の引き締め効果もあります。

④疲労回復効果・抗ストレス効果

  • 活性酸素に対する抗酸化作用により疲労の回復を早めます。また、ストレスによりビタミンCが消費されると、活性酸素が体内にたまりやすくなり、血流が悪くなります。ビタミンCを積極的に摂取することでストレスが緩和され、身体への悪影響を抑えることが期待されます。
  • 高濃度ビタミンC点滴は、ビタミン剤の経口内服に比べて血中濃度を効率よく高めるため、疲労倦怠感(疲れただるい感じ)の回復に対して即効性があります。また、日々のストレスの積み重ねで発生する活性酸素を抗酸化作用によって抑え、健康的にホルモンの働きをサポートし、ストレスに対応できるからだをつくります。
  • 人間はストレスを感じると、これに対抗するために副腎で抗ストレスホルモンを作りますが、その際にはビタミンCが必要になります。

⑤生活習慣病の予防

  • 血中コレステロールが増えると動脈硬化が多くなり、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞になりやすくなります。ビタミンCは、動脈硬化を促進
    する過酸化脂質の生成を抑制し、血中コレステロール値を低下させる作用があります。ビタミンCは過剰なコレステロールを胆汁酸に変え
    て外部に排出することが証明されています。

⑥抗アレルギー作用

  • ビタミンCの抗ヒスタミン作用により、アレルギー疾患が緩和します。

  • 花粉症の方は、鼻水・くしゃみ・目のかゆみなどの症状が軽くなることが期待できます。

⑦がん予防

  • がん予防にビタミンCが注目されています。高濃度ビタミンC点滴の抗酸化作用でがん細胞の発生を抑えることが期待されています。
  • ビタミンCは抗酸化作用により、がんなどの原因のひとつと言われている活性酸素を抑制します。また、胃がんなどの原因となるニトロソアミンの生成を抑制し、抗癌作用のあるインターフェロンなどの生成を促すのでがん予防効果があるとされています。

⑧歯周病治療・対策

  • 歯周病を含め、歯科治療領域でも効果が期待できます。

高濃度ビタミンC療法(がん治療)

ビタミンCは古くから強力な抗酸化作用を持つことが知られており、疾病予防・アンチエイジングの目的で使用されてきました。一方で、高濃度ではビタミンCは抗がん作用を発揮することがわかってきました。
がんに対する高濃度ビタミンC点滴療法は、ノーベル賞学者のライナス・ポーリング博士が1970年代に「ビタミンCの投与によって末期進行がんの患者さんの生存期間が4.2〜6倍延長した」という研究結果を発表し、注目されるようになりました。しかし、すぐさま否定的な論文が続けて発表されたため、その後はあまり注目されることはありませんでした。
ところが、2005年にアメリ力国立衛生研究所(National Institute of Hearth: NIH)から、ビタミンCががん細胞に効くメカニズムに関する論文1)が発表されて以来、再び注目され、米国の大学病院などで臨床試験が行われるようになりました。

高濃度ビタミンC療法は強い抗がん効果を発揮する

高濃度のビタミンCの点滴を行うと、血液中で大量の過酸化水素が発生します。
正常な細胞にはこの過酸化水素を中和するカタラーゼという酵素があるので、ダメージを受けませんが、がん細胞はこのカタラーゼがないため、過酸化水素を中和できず死んでしまうのです。
このようなメカニズムから、高濃度のビタミンCはがん細胞にとって《抗がん剤》の働きをしますが、抗がん剤とは異なり副作用がないのが特長です。また、この作用は、ウィルス感染症治療に対しても役立つと発表されています。
高濃度ビタミンC点滴療法は、現在、がん手術後の再発防止\がんの新たな補助療法として\米国・国立癌研究所、米国・国立衛生研究所において研究が進められている、がん治療法です。

一方で、ビタミンCは高濃度で抗がん作用を発揮すると同時に抗酸化物質としても知られていますので、がんに曜患していない方には、グルタチオン点滴療法と同様に、免疫力を増強して自然治癒力を高めたり、アンチエイジング美容、健康の維持・増進、疲労回復などに効果を発揮します。

高濃度ビタミンC点滴による治療効果が報告されている主ながん

  • 乳がん
  • 前立腺がん
  • 胃がん
  • 直腸がん
  • 肺がん
  • 悪性リンパ腫
  • すい臓がん
  • 子宮がん
  • 卵巣がん
  • 膀胱がん
  • 腎臓がん
  • 多発性骨髄腫
  • 大腸がん など
  • ヒトの膵臓がん、悪性黒色腫、骨肉腫の培養細胞は、ビタミンC濃度が400mg/dlに達すると死んでしまいます。

点滴の頻度は?

<がん治療の場合>

  1. 最初の6か月間は週2~3回
  2. 効果があればその後6か月間は週1回
  3. 開始2年間以降は月1回で継続する。

※実際には個々の患者様の病状、血中濃度、経済状況を考慮して、ご相談のうえ決定します。

<がん治療以外の目的の場合>

  • 週1回、月2回、月1回など、体調や病状、ご希望に応じて、ご相談のうえ決定します。

手術、抗がん剤、放射線治療が有効ながんの場合は、まずそちらを優先しますが、超高濃度ビタミンC点滴は副作用が非常に少ない安全な治療法であり、併用もおすすめします。
但し、抗がん剤(メソトレキセート[Methotrexate]、ベルケイド[Vercade])を現在投与されて治療中の方は、超高濃度ビタミンC点滴療法をお受け頂けません。
超高濃度ビタミンC点滴療法は、同じ部位のがんでもその効果には個人差があります。またがんの縮小効果だけでなく、生活の質(QOL) の改善や延命、標準的ながん治療の副作用症状の軽減など、がんの補助療法としても用いることができます。

<参考文献>
高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者QOLに及ぼす効果/Tkahashi H et al. Psersonalized Medicine Universe 2012;1:49-53

高濃度ビタミンC点滴療法ができないケース

  • G6PD欠損症*
  • 心不全
  • 高度の腎不全・透析
  • 脱水症
  • 栄養状態が悪い
  • 胸水・腹水がある

*G6PDという酵素が遺伝的に欠損している方は高濃度ビタミンC点滴療法で溶血発作(赤血球が破壊される)が生じる可能性があるので、25g以上のビタミンCを点滴する場合には事前に血液中のG6PDの活性を測定して、欠損がないことを確認する必要があります。

高濃度ビタミンCの副作用

重篤な副作用はないと報告されています。比較的起こりうる副作用としていかのようなものがあります。

①点滴痛

点滴治療全般に言えることですが、点滴刺入部に局所的な痛みを感じることがあります。
局所的な痛みを感じるのは静注速度が早すぎるために起こります。
この血管痛に対しては、マグネシウムの添加、点滴速度の調整、温湿布などで軽減できます。

②口渇(のどの渇き)

高濃度ビタミンC点滴には利尿作用があります。
点滴中はミネラルウォーターやノンカロリーのお茶などでこまめに水分補給を行っていただきます。

③低カルシウム血症

ビタミンCは力ルシウムをキレートする(尿として外に出す)働きがあり、筋肉のけいれん、しびれなどの症状を認めることがあります。
力ルシウム製剤を投与することで速やかに改善されます。

④低血糖(めまい、冷や汗、疲労感など)

ビタミンCはブドウ糖と化学構造が極めてよく似ており、高濃度ビタミンC点滴によって体は「ブドウ糖が入った」と勘違いして、血糖を下げるインスリンを分泌することがあるため低血糖を生じることがこく稀にあります。

⑤みせかけの高血糖

糖尿病の方で簡易血糖測定器を使用している場合、高濃度ビタミンC点滴後に測定すると高血糖の値が出ることがあります。ビタミンCとブドウ糖の化学構造が極めてよく似ているために起こる現象です。糖尿病患者さんの場合、簡易測定器で高血糖であった時にあわててインスリンを投与すると低血糖になってしまいます。簡易血糖測定器を使用している方は、ビタミンC点滴後12時間は血糖測定を控えて下さい。

⑥アレルギー

ビタミンCそのものに対するアレルギーは稀です。時々起こるアレルギー症状は、溶液に加えられたビタミンC以外の成分、もしくはこれらの成分に含まれた化学防腐剤が原因であることがほとんどです。

超高濃度ビタミンC点滴療法が、なぜがん治療に効果があるのか?

2005年9月、権威ある科学雑誌である『米国科学アカデミー紀要』に、ビタミンC点滴療法の画期的な研究論文が発表されました。
この論文は、米国国立衛生研究所(NIH)、米国国立がん研究所(NCI)、米国食品医薬品局(FDA) 、アイオワ大学フリーラジカル、放射線研究部門に所属する8名のドクターや科学者が行ったもので、「ビタミンCは正常な細胞に影響を与えず、がん細胞だけを殺す、副作用のほとんどない理想的な抗がん剤である」という驚くべき内容のものでした。

正常細胞に害を与えず、がん細胞だけを殺す?

論文の証拠となった実験は、人問にビタミンCを静脈から点滴したときと同じ状態を、試験管内で再現して行われました。
通常、人間のビタミンC血中濃度は0.1ミリモル(血中濃度を示す単位)ですが、超高濃度ビタミンCを点滴すると0.3~20ミリモルまで上昇します。この際重要なことは、ビタミンCを点滴注射で血液中に送り込むという事です。
多量のビタミンCを口から接種しても、血中濃度は0.22ミリモルを超えることはありません。
・第一の実験は、9種類のがん細胞と、4種類の正常細胞をビタミンCの入った試験管内に1時間さらし、24時間後の結果を見たものです。結果、5ミリモル以下のビタミンC濃度で、9種類のがん細胞のうち、5種類が50%死滅、その他4種類のうち、3種類のがん細胞はその増殖が99%抑えられました。驚くことに、正常細胞には全く影響がありませんでした。
・第二の実験はビタミンCのがん細胞死に与える影響をより詳しく検証したものです。人間のリンパ腫細胞(がん細胞)を、0.1-5ミリモルの間の8段階濃度の中にそれぞれ1時問さらした結果、濃度が2ミリモル以上になるとがん細胞が100%死滅することが確認されました。

なぜビタミンCでがん細胞が死滅するのか?

超高濃度ビタミンCを血液中に点滴すると、まずビタミンCは血管の外にしみ出していきます。がん細胞は栄養となる糖を積極的に細胞内に取り込もうとしますが、ビタミンCはこの糖と非常に良く似た構造をしています。そのため、がん細胞はビタミンCを糖と勘違いして細胞内に取り込もうとするのですが、この過程でビタミンCが酸化され活性酸素(非常に攻撃力の強い酸素)の一種である過酸化水素が発生します。この過酸化水素ががん細胞を破壊してしまうのです。
ではなぜ、正常細胞は破壊されないのでしようか。
ビタミンCは酸化により過酸化水素という毒素と、酸化型アスコルビン酸という細胞の免疫力を高める物質に変化します。正常細胞の周囲では、ビタミンCが過酸化水素を発生させても、細胞内にある力タラーゼという酵素により除去され、無害化されます。そして酸化型アスコルビン酸だけを取り込み、免疫力を強化していきます。しかし、がん細胞には毒素を無害化する力タラーゼ酵素がほとんどありません。そのため過酸化水素という毒素に殺されてしまうのです。
つまり、「副作用が非常に少ない抗がん剤」と言えるでしよう。

ビタミンCががんを殺す仕組み

血管の外に湯み出たビタミンCががん細胞に取り込
まれる過程で、過酸化水素が発生し、がん細胞を殺
します。正常細胞の周囲では、力タラーゼと呼ばれ
る特殊な酵素によって過酸化水素は除去されます。

世界各国で行われている臨床試験

  • 2005年卵巣がん、子宮頚がん、子宮体がん(米国・カンザス大学癌センター)
  • 2006年末期固形がん(Cancer Treatment in America病院) 2008年悪性リンパ腫(米国・ジェフアーソン大学)
  • 2008年悪性リンパ腫(米国・ジェフアーソン大学)
  • 2008年悪性リンパ種(日本・東海大学医学部)
  • 2008年ビタミンC点滴療法の安全性実験(力ナダ・マギル大学)
  • 2009年非小細胞性肺がん(力ナダ・マギル大学)
  • 2009年膵臓がん(米国・ ジェフアーソン大学)
  • 2009年膵臓がん(米国・アイオワ大学)
  • 2010年抗ガン剤の効果が低いがん(力ナダ・マギル大学)
  • 2010年前立腺がん(デンマーク・コペンハーゲン大学)
  • 2010年固形がん単独投与(米国・サイトスがん研究センター)

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