コラム

慢性炎症と細胞老化と腸内細菌の関係

Red blood cells under microscope abstract background

炎症のプロセスには、感染や組織損傷により誘導される急性炎症の機序と、組織への持続的なストレスによって持続的に誘導される慢性炎症の機序があることが明らかとなっています。

慢性炎症は、線維化や機能障害を促進するとされ、免疫や炎症の制御異常により発症する気管支喘息やアトピー性皮膚炎、自己免疫疾患だけでなく、動脈硬化や心不全、糖尿病、肥満、認知症、などのさまざまな疾患に深くかかわっています。

老化に伴い免疫システムでは獲得免疫応答反応の低下が認められます。実際に、高齢者では血中サイトカインが健常者であっても高いレベルを示し、恒常的に炎症シグナルが活性化していることが報告されています。

このような老化に伴って観察される慢性炎症の状態は、inflammaging(inflammation +aging) と呼ばれています。

細胞老化とは、細胞が増殖促進刺激に対する抵抗性を獲得し、安定的に細胞周期が停止した状態です。
老化した細胞はさまざまな炎症性サイトカイン、細胞外マトリックス分解酵素など、炎症や発癌促進作用のある分泌タンパク質を発現しており、これらの現象をsenescence-associated secretory phenotype (SASP) といいます。

老化細胞が蓄積することで生じる過度なSASPは、心血管疾患、糖尿病、白内障、アルツハイマー型認知症、骨粗鬆症、変形性関節炎など、さまざまな疾患を引き起こすとされています。

最近では、肥満などで脂肪が肝臓に蓄積する脂肪肝から非アルコール脂肪肝炎 (NASH) になり、肝臓癌を発症した患者の腫瘍組織において、約3割の患者の肝星細胞が細胞老化とSASPを起こしていたと報告されています。

SASPとともに肝星細胞ではCOX2発現が増加し、それに誘導されたプロスタグランジンE2産生によって抗腫瘍免疫が抑制され, 肝臓癌の進行に関連するとされています。

老化した細胞の数は加齢とともに増え、老化細胞による慢性持続炎症が加齢に伴うさまざまな疾患の要因となります。

そして腸内細菌を良好な状態にすることでフレイルや細胞老化など、慢性炎症が原因となりうる状態を回避できると考えられています。

 

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

参考文献:
1) Martin R. Makino H. Cetinyurek Yavuz Aetal Early-Life Events, Including Mode of Delivery and Type of Feeding. Siblings and Gender.Shape the Developing Gut Microbiota. PLoSOne 201611158498
2)【炎症と老化】腸内環境と炎症・老化
内山 和彦(京都府立医科大学 消化器内科学教室), 高木 智久, 内藤 裕二
アンチ・エイジング医学(1880-1579)18巻2号 Page102-108(2022.04)

・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。

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プロフィール

松澤 宗範
松澤 宗範青山メディカルクリニック 院長
近畿大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科入局し、佐野厚生総合病院形成外科へ。その後、横浜市立市民病院形成外科として務める。埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科を経て、銀座美容外科クリニック新宿院院長として従事する。その後、青山メディカルクリニック開設し、今に至る。