高齢者を対象とした研究では、AGEsの一つであるカルボキシメチルリジン (CML) の血中レベルが、
糖尿病や年齢、喫煙、慢性腎臓病の有無にかかわらず、腎機能低下や貧血の程度、血管硬化度と相関することが示されています。
また、血中CMLレベルが、将来の腎機能の低下を予想するマーカーとなり、
歩くスピードの遅さと有意に相関し、6年後の全死亡ならびに冠動脈疾患死を予測するバイオマーカーとなりうることが報告されています。
さらに、糖尿病や心血管疾患のない一般住民73,000人を対象に皮膚のAGEsを測定した研究では、AGEs値が上昇するごとに2型糖尿病や心血管疾患の発症リスクや死亡リスクが高まることがわかっています。
また、CMLが高いほど骨盤骨折のリスクが上がることが報告されています。
このことからAGEsの蓄積が骨質を劣化させ、骨折のリスクを上げていると考えられます。
また、癌に関しては食事に由来するAGEsの摂取量が多い人ほど、乳癌や膵癌の発症リスクが高くなると報告されています。さらに血中AGEs値が高いと直腸癌のリスクが上昇することが報告されています。
青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範
参考文献:
1) Yamagishi S, Fukami K, Matsui T. Evaluation of tissue accumulation levels of advanced glycation end products by skin autofluorescence: A novel marker of vascular complications in high-risk patients for cardiovascular disease. Int J Cardiol. 2015: 185:263-8.
2) Yamagishi S. Role of advanced glycation end products (AGEs) in osteoporosis in diabetes. Curr Drug Targets. 2011 12 2096-102.
3)アンチAGEsでアンチエイジング(総説)
山岸 昌一(昭和大学 医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科学部門)アンチ・エイジング医学(1880-1579)18巻2号 Page116-120(2022.04)