エクソソームは、細胞から分泌される直径100ナノメーター前後の小胞体で、脂質二重膜で囲まれており、内部にはmRNA、microRNA、タンパク質等の多くの情報伝達物質が内包されています。
エクソソームは細胞質から初期エンドソームの内側に出芽するように形成され細胞外に分泌されます。
エクソソームを多数含むエンドソームは、その形状からMultivesicular body(MVB)と呼ばれます。そしてエンドソームが細胞膜に融合しエクソソームは細胞外へ分泌されます。
そして、エクソソームに内包される物質の割合は、ある程度細胞内の存在量を反映されます。細胞内に過剰発現させたmiRNAやタンパク質、mRNAはより多くエクソソームに内包されることは既に多くの論文で示されています。
一方で、エクソソームに内包される物質が選択的に取り込まれるとする報告例もあります。
例えば、乳がん細胞MCF-7において、細胞内で最も量の多いmiR-720のエクソソーム中での割合はわずか2%で、細胞内の存在量が少ないmiR-451やmiR-107のほうが高濃度でエクソソーム中に存在しました。
しかし、実際にエクソソームに特異的にmiRNAを内包する機構はまだ明らかになっていません。
エクソソームの特定の細胞への運搬機構も、まだ十分には解明されていません。
これまでに、T細胞から抗原提示細胞へ、エクソソームを介してmiRNAが一方向に輸送されるというものがあり、少なくとも何らかの特定の輸送経路は存在します。
しかし、まだ十分には解明されていません。
もしエクソソームの輸送機構が解明されれば、エクソソームを応用したドラッグデリバリーシステムが可能となり、治療や薬品などに応用することができ様々な可能性が期待できます。
青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範