カロリー制限によりサーチュイン遺伝子が活性化して抗老化や若返り効果をもたらし寿命が延びることがわかっています。
カロリー制限は数日間食事を摂らない方法より1日1回の食事、1日1回の食事を抜く、あるいは1日置きの断続的断食が推奨されています。
カロリー制限によりNADが増加してサーチュイン遺伝子 (SIRT1) が発現します。
哺乳類においては、カロリー制限により SIRT 1,3は活性化します。しかし、他のサーチュイン遺伝子は活性化しないようです。
カロリー制限はサーチュイン遺伝子の発現による長寿だけではなく、mTOR(エムトール, エムトア)やAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)も関係しています。
カロリー制限により摂取するタンパク質が減少するとmTORが減少します。またAMP が増加して AMPKが活性化します。
AMPKの活性化ならびにmTORの減少により、幹細胞の細胞増殖・分化を促します。またDNAの損傷を修復してがんに効果があります。
AMPKは細胞のエネルギー状態の恒常性に関係する酵素で細胞のエネルギーが低下しているときにグルコースと脂肪酸の取り込みを活性化させてエネルギー代謝を高めます。
mTORは成長・代謝の調節シグナル伝達に関係するタンパク質キナーゼです。mTORを抑制すると抗がんや免疫調節効果が見られます。
また、カロリー制限しNAD が増加することによって、組織幹細胞の活性化やがん抑制効果、安眠などの効果が出ます。
青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範
参考文献:
1) David A Sinclair, Matthew D LaPlante, “LIFE SPAN”老いなき世界、梶山あゆみ (訳) 東洋経済新報. 2020
2) Dali-Youcef N, Lagouge M, Froelich S, et al. Sirtuins:the ‘magnificent seven’ function, metabolism and longevity, Ann Med. 2007; 39: 335-345. 3) Wierman MB, Smith JS. Yeast sirtuins and the regulation of ageing. FEMS Yeast Research. 2014; 14: 73-88.
3)サーチュイン遺伝子を活性化させる-食事制限と植物由来の医薬品 佐藤茂、劉效蘭 国際抗老化再生医療学会雜誌 The Journal of World Academy of Anti-Aging & Regenerative Medicine (WAARM) Society Vol.4 2021年,2022年10月