腸内細菌は、免疫機能を調整すると考えられています。
無菌マウスのように腸内細菌が存在しないと腸管免疫細胞の発達と成熟が阻害されます。
しかし、腸内細菌の存在によりIL-10およびTGF-βを産生するTreg、IgAを分泌するB細胞 Th17細胞、2型リンパ系自然免疫細胞 (ILC2)が誘導されます。
これらの腸内細菌と宿主の免疫反応のメカニズムとして、Firmicutes門でClostridium目細菌群が食物繊維の嫌気性代謝によって産生するSCFAの一つである酪酸が重要であることが報告されています。
酪酸は大腸粘膜における Treg細胞の分化誘導を促進します。
また、腸内細菌由来の酢酸は腸から血中に移行し、好中球のアポトーシスを促し腸炎を抑制することが報告されています。
さらに、酢酸が大腸上皮細胞の創傷治癒を促進し、腸炎の回復を促進することも報告されています。
酢酸には上皮のバリア機能を高める作用があり、ビフィズス菌により腸管内で産生される酢酸がO157腸管感染症を予防することが明らかとなっています。
青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範
参考文献:
1) Tap J. Mondot S. Levenez F. et al Towards the human intestinal microbiota phylogenetic core. Environ Microbiol 2009 11:2574-84.
2)【炎症と老化】腸内環境と炎症・老化
内山 和彦(京都府立医科大学 消化器内科学教室), 高木 智久, 内藤 裕二
アンチ・エイジング医学(1880-1579)18巻2号 Page102-108(2022.04)