コラム

精巣・精子のアンチエジングのためのサプリメント

Sperm Meets Egg

酸化ストレスが精巣にダメージを与えるため、抗酸化作用をもつサプリメントで男性不妊症が改善することが分かっています。具体的には以下のサプリメントが有効です。

1. ビタミンC・ビタミンE・コエンザイムQ10(CoQ10)

ビタミンCは精漿に高濃度含まれており、DNA損傷を防ぎます。ビタミンEはフリーラジカルを中性化し、細胞膜を防御します。

ビタミンCとビタミンEの2ヵ月投与が顕微受精の成功率を上昇させ、精子のDNA損傷を減少させたことが報告されています。

抗酸化作用のあるコエンザイムQ10 (CoQ10) は細胞のミトコンドリアでのATP合成に必要で、細胞膜やリポタンパク質で抗酸化物質として機能します。

CoQ10とビタミンC.Eを男性不妊症患者169名に投与した本邦の報告では、精子濃度はCoQ10とビタミンC.E使用前 (30.8±40.8百万/mL) と比較して、1ヵ月後 (38.1±43.9百万/mL)、3ヵ月後 ( 37.5 54.0百万/mL)、6ヵ月後 (49.0±59.0万/mL)と有意に改善を認めました。

精子運動率は使用前 (25.218.1%) と比較して1ヵ月後 (35.0±21.9%)、3ヵ月後 (39.1±20.3%)、6ヵ月後 (41.3±22.1%)と有意に改善を認めました。

CoQ10の効果を検討したメタ解析の結果では、CoQ10は出生率や妊娠率を改善することはないですが、精子濃度や精子運動率の改善が認められました。

2. レスベラトロール

レスベラトロールは、赤ワインやピーナッツの赤皮などに多く含まれるポリフェノールとして広く知られ、サーチュイン活性化を介したアンチエイジング効果など多くの研究報告がなされています。

2005年にスペインのグループでは、レスベラトロールが健常ラットの精子数を上昇させ、男性ホルモンの合成経路を活性化することを示唆しました。

また、糖尿病のラットモデルにおいて、レスベラトロール単独もしくはPDE5阻害薬の一つであるバルデナフィル併用によるED改善効果が示されています。

3. ピクノジェノール

ピクノジェノールは, 大西洋沿岸に生育するフランス海岸松と呼ばれる松の樹皮より抽出されたポリフェノールで強い抗酸化作用があります。

約70%のプロシアニジン、カテキン、エビカテキンのオリゴマーを含有します。

男性不妊症患者を対象にピクノジェノールとLアルギニンのサプリメントが精子濃度を上昇させる可能性を報告しています。

4. 亜鉛

亜鉛の欠乏は、精子形成に影響します。亜鉛は精子の形成やテストステロンの合成に欠かせないミネラルで精液中にも多く含まれており、精液中の亜鉛が多いほど精子の数が多いということが報告されています。

精液中の亜鉛濃度と男性の不妊症とには負の相関が認められ、亜鉛欠乏でテストステロンの合成・分泌が低下し、酸化ストレスの増加が精子形成障害の原因とて考えられています。

精巣の老化はテストステロンの低下を起こし、身体的、精神的なQOLに関係しています。 テストステロンは、精巣や副腎以外でも海馬、骨格筋、脂肪などで産生されることが明らかになってきています。

これらの臓器ではアンドロゲン受容体が発現しており、テストステロンの低下が認知症やサルコペニア、フレイルなどに関係しています。

テストステロンを維持することは虚弱を防ぎ、QOLを上げるアンチエイジング的効果が期待できます。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

 

参考文献:

1) Wyrobek AJ. Eskenazi B. Young S. et al Advancing age has differential effects on DNA damage, chromatin integrity, gene mutations and aneuploidies in sperm, Proc Natl Acad Sci USA 2006 1039601-6
2) Sergerie M. Laforest G Pes beat al Sperm DNA fragmentation threshned value in male fertillity. Hum Reprod. 200620346-51
3) Evenson DP. Wicon R. Data analysis of two in vivo fertility studies using Sperm Chromatin Structure Assay-derived DNA fragmentation index vs. pregnancy outcome. Fertil Steril. 2008:90: 1229-31.
3)精巣のアンチエイジング 井手 久満(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科 / 低侵襲治療センター)アンチ・エイジング医学 日本抗加齢医学会 Vol.17 No.6

プロフィール

松澤 宗範
松澤 宗範青山メディカルクリニック 院長
近畿大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科入局し、佐野厚生総合病院形成外科へ。その後、横浜市立市民病院形成外科として務める。埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科を経て、銀座美容外科クリニック新宿院院長として従事する。その後、青山メディカルクリニック開設し、今に至る。