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腸内環境と肥満の関係

腸内環境は老化や免疫機能、様々な疾患に密接に関連しています。

ヒトの腸管内には数100種類以上100兆個に及ぶ腸内細菌が生息しています。ヒトの腸内細菌叢はそのなかで30~40種類の細菌が全体の大半を占めており、在胎期間・分娩の方法・授乳様式・家庭環境などにより影響を受けます。

ヒト腸内細菌叢は、3歳まで不安定であり、その後、安定しますが、高齢になるにつれて徐々に変化します。 また、腸内細菌叢の構成は個人によって異なりますが、いったん獲得された腸内細菌叢は抗菌薬の投与などで一時的に乱れたとしても、時間が経つともとに戻り維持されます。

腸内細菌叢はFirmicutes門、Bacteroidetes門、Proteobacteria門、および Actinobacteria門の4門によって90%以上が構成されていますが、なかでもFirmicutes門が約60%を占めています。この腸内細菌叢の構成菌種、バランスが変容し、異常をきたした状態をdysbiosisと呼びます。このdysbiosisによって異常な免疫応答や代謝機構の乱れが生じた結果、さまざまな疾患の原因になると考えられています。

腸内細菌は食物繊維の短鎖脂肪酸(short-chain fatty acid; SCFA) への分解、アミノ酸やビタミンの合成、および脂質代謝や胆汁酸の代謝に関与することで、宿主のエネルギー獲得や消化管の良好な維持に役立っています。

腸内細菌の代謝産物の主要なものはSCFAです。腸管における主なSCFAはプロピオン酸、酪酸、酢酸で、Firmicutes門とBacteroidetes門によって産生されます。

腸内細菌によって産生されたこれらSCFAのうち、95%は大腸上皮で吸収され、大腸上皮細胞の摂取エネルギーの70%を賄っています。無菌マウスは、通常のマウスと比較して摂食量が30%増加するにもかかわらず、体脂肪率が40%も低いことが知られています。しかし、この無菌マウスを通常の飼育を行うと、2週間以内に体脂肪率が正常化します。

また、肥満のマウスの腸内細菌を無菌マウスに移植することで、肥満でないマウスの腸内細菌を移植した場合と比べて、有意に体脂肪率が増加することが報告されています。

これらの結果は、腸内細菌およびその代謝産物であるSCFAが宿主のエネルギー代謝、供給に重要な役割を果たしていることを示唆しています。

また、2型糖尿病患者ではBacteroides門とClostridium門が優位に増加しているとの報告もあり、これらの腸内細菌叢の変化が疾患の発症や病態にも影響を及ぼしていると考えられています。 一方、1型糖尿病では、自己抗体出現前から Bacteroidetes門の増加とFirmicutes門の減少を認めることが報告されています。

腸内細菌はその代謝産物を通じて、宿主のエネルギー代謝や恒常性の維持に重要な役割を果たしており、腸内細菌の異常が全身疾患の病態に関与していることが考えられます。

 

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

参考文献:
1) Frank DN, St Amand AL. Feldman RA. Et al Molecular-phylogenetic characterization of microbial community imbalances in human inflammatory bowel diseases, Proc Natl Acad Sci USA 200710413780-5.
2) Bana B Cabreiro F. The Microbiome and Aging. Annu Rev Genet. 2019:53:23961.
3) Metchnikoff E. The prolongation of life: optimistic studies London: Heinemann: 1907.p.343.
4)【炎症と老化】腸内環境と炎症・老化
内山 和彦(京都府立医科大学 消化器内科学教室), 高木 智久, 内藤 裕二
アンチ・エイジング医学(1880-1579)18巻2号 Page102-108(2022.04)

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