生物には古くなって機能の衰えた細胞や、なんらかの原因によって傷ついた細胞、あるいは突然変異によってがん化してしまった細胞などを排除するしくみがあります。その細胞除去のしくみを「アポトーシス」と呼びます。
アポトーシスの特徴は不要な細胞を除去する際に炎症を伴わず、周りの細胞にも悪影響を与えません。アポトーシスによって細胞が排除されると、局所の細胞だけが消滅して痕跡を残しません。
一方「ネクローシス」、日本語で「壊死」と呼ばれる細胞の破壊があります。ネクローシスは、血行不良や細菌感染、外傷などによって組織の損傷が生じたときに発生します。ネクローシスの特徴は、細胞を排除する過程で局所、周辺に強い炎症を伴うことです。
人間のからだは一日あたり1兆個もの細胞を排除し、常に新陳代謝をくり返しています。
もし、アポトーシスがうまく働かないと変性したままの細胞が排除できなくなり、がんの発生につながってしまうこともあります。
アポトーシスの発令には、排除される細胞内部のミトコンドリアが大きく関与しています。
ミトコンドリアには「ATP(アデノシン三リン酸 : Adenosine Tri Phosphate)」というエネルギーの生産と、アポトーシス発令の働きがあります。
つまり、細胞の生死を分ける判断はすべてミトコンドリアによって行われています。
青山メディカルクリニック院長 松澤 宗範
参考文献:
・『若化!医師が見つけた若返る3つの魔法』著者 宇野克明