毛穴が気になる方は多く、20代以下では皮脂分泌過多による痤瘡や毛孔開大を気にしてクリニックを受診する方が多いです。成人以降は加齢によるたるみとともに毛孔の形が変化します。
また、体にできる毛孔性苔癬が気になって受診する方も多く見受けられます。
毛穴が気になる部位で特に多いのが、鼻先や額、頬です。毛穴の黒ずみやざらつきが気になる方が多いです。
毛穴の黒ずみは角質細胞と角栓と毛の色が混在していることが多いです。ざらつきは、角化の亢進で毛孔が狭窄し、溜まった皮脂や角質が酸化し汚れ、毛包壁と密着した角栓により形成される面ぽうと呼ばれるものが原因です。
面ぽうは、顔面以外にも、前胸部や背中などの皮脂腺が発達した部位に発生します。また、老人性の面ぽうは主に皮膚が露出した部位に見られ、比較的大きな面ぽうのことが多いです。
毛穴の大きさと皮脂の関連については皮脂分泌量が多いと、毛穴が大きいというのは相関しています。
また、毛穴が目立つようになるのは、毛孔部周囲がすり鉢状に陥凹して、辺縁の皮膚が隆起して影が生じるためです。
毛孔周囲の皮膚が隆起するのは酸化した遊離脂肪酸による炎症が生じるためと考えられており、さらに角栓が毛孔内に長期間残存することで毛包漏斗部の容積が大きくなることも原因とされています。
頬の毛穴については、加齢によるたるみで毛穴の形が円形から楕円形に変わり、30代から形の変化が見られるようになり、50代からさらに長細く変化すると言われています。
毛穴の総面積は40代がピークでその後は縮小していきます。さらに年齢が進むと皮膚の萎縮とシワによって毛孔は目立たなくなっていきます。
青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範
参考文献:
・黒川一郎:座瘡の毛包漏斗部が閉塞するメカニズム.古江増隆・林 伸和(編):皮膚科臨床アセット8変貌する座瘡マネージメント中山書店,pp97-102,2012.
・Izumi AK, Marples RR, & Kligman AM: Senile (solar) comedones. J Invest Dermatol, 61: 46-50, 1973.
・大栗基樹・舛田勇二・高橋元次:ヒト顔面頬部における毛穴の3次元計測と加齢変化,日皮会誌, 114:601,2004.
・Sugata K, Nishijima T, Kitahara T, et al: Confocal laser microscopic imaging of conspicuous facial pores in vivo: relation between the appearance and the internal structure of skin. Skin Res Technol, 14:208-212, 2008