ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は NADの前期体物質として重要です。
老化した多くの臓器でNAD 量が低下していることが判明し、NAD供給そのものが臓器機能維持に重要と考えられます。
NMNは、水溶性ビタミンB3であるnicotinamideから、nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)により産生されます。
NMNは、枝豆、ブロッコリー、アボガド、トマト、牛乳などの日常食品に含まれます。そしてNMN 投与により効率よくNAD合成が促進され、サーチュインが活性化されます。
マウスの実験ではNMN が糖尿病や神経疾患、脳疾患などに対して様々な健康効果・生物学的効果をもたらすことが判明しました。 NMN に関してもヒトに対して臨床試験がはじまっています。
糖尿病マウスにおいて、NMN(500 mg/kg体重/日)の腹腔内投与が、肝臓、筋肉、脂肪組織などの主要代謝臓器のNAD量を増加させ、耐糖能障害インスリン抵抗性、β細胞機能不全、脂質異常症などの肥満合併症を改善することが報告されました。
NMNの長期投与が老化に伴う肥満やインスリン抵抗性などの代謝異常症を予防し、骨格筋ミトコンドリア機能を充進させることが証明されました。
まだNMN取り込みメカニズムに関しては解明されていないことが多いですが、NMN特異的なトランスポーター (SLC12A8)が同定され、生体内における NMNの薬物動態及び臓器特異的なNMN取り込みメカニズムに理解がもたらされつつあります。
参考文献:
Geriatric Medicine (0387-1088)59巻7号 Page693-698(2021.07)
参考文献:医学のあゆみVol.279 No.52021.10.30