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Diet

GLP-1によるダイエット・アンチエイジング効果

Glucagon-like peptide-l receptor(GLP-1) は小腸L細胞から産生・分泌される生理活性ペプチドです。

腸管内に取り込まれた栄養素を認識して分泌され、分泌されたGLP-1は膵臓に作用して、インスリン分泌を介した血糖降下作用を示します。この作用は、一般的にはインクレチン関連薬(DPP4iおよびGLP-1RA)と呼ばれています。インクレチン関連薬は、血糖変動を低減し、低血糖をきたしにくい性質を持っています。

さらに、GLP-1受容体作動薬 (GLP-1RA) のリラグルチドやセマグルチドには、心血管病ハイリスクの2型糖尿病患者の心臓血管死や腎機能障害リスクを有意に低減することが示されています。

GLP-1に期待されるアンチエイジング効果は、4つあげられます。

一つ目はGLP-1受容体作動薬による食欲抑制効果です。

GLP-1は中枢神経系・視床下部に作用し、食欲を抑制する働きがあります。また、胃の蠕動を抑制し消化スピードを緩和することで血糖値の上昇が抑えられるため、ダイエット効果があります。肥満は全身の老化の大きな原因になるため、GLP-1はアンチエイジング効果があると言えます。

二つ目は心血管死亡率抑制作用と抗動脈硬化作用です。

GLP-1は、抗炎症作用 抗酸化作用があり、抗動脈硬化作用を有します。血管にはGLP-1受容体の発現がないことからGLP-1受容体作動薬やGLP-1の動脈硬化症を軽減する作用は、血管への直接的作用ではない可能性が高いです。

リラグルチドやセマグルチドによるアテローム性動脈硬化症の軽減は炎症の抑制、食後血漿脂質濃度の低下、および酸化ストレスの減弱といった複合的な要素を介することが示唆されています。

三つ目は脂肪肝臓器への脂肪沈着改善効果です。

GLP-1が非アルコール性脂肪肝炎NASHや心臓への脂肪沈着を抑制することが報告されています。GLP-1は肝臓への脂肪蓄積や脂肪合成を抑制する効果が示唆されています。GLP-1には、脂質合成を制御する転写因子や不飽和脂肪酸の合成酵素の遺伝子の発現抑制、脂肪酸β酸化を制御することで、肝臓への脂肪沈着を抑制する可能性が示唆されています。

四つ目は血管新生、神経再生効果です。

GLP-1には、神経の再生や血管新生を促す効果もあります。慢性情動ストレスが血管老化と虚血性血管新生能を抑制しますが、このメカニズムにはGLP-1の分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4i) の活性増加と、これを介したGLP-1分解亢進により、血管新生アディポカインの一つであるアディポネクチン分泌が低下することが原因として考えられています。

また、糖尿病合併症の末梢神経障害において、GLP-1はニューロン再生を促進し末梢神経障害を緩和する可能性が示唆されています。

血管新生能や神経再生能は、全身の抗老化作用にも大きな影響を有し、これもGLP-1に期待できる抗老化作用としてあげられます。

 

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

参考文献:
1) Campbell JE, Drucker DJ. Pharmacology. physiology, and mechanisms of incretinbormone action Cell Metab. 2013 17:819-37.
2)Marso SP. Daniels GH. Brown-Frandsen K. et al Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2016:375311-22
3) 上野浩品, 中里雅光 3 GLP-1受容体作動薬の体重減少効果 糖尿病 2017:60:570-2.J
4)【Young at HEART~若々しい心臓であり続けるために~】心臓アンチエイジング物質GLP-1(解説) 坂東 泰子(名古屋大学医学部附属病院 循環器内科)アンチ・エイジング医学(1880-1579)17巻3号 Page263-265(2021.06)

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