筋骨格系疼痛は成人の1/3以上に発症し、疼痛は発症原因や部位が多様であり治癒しにくいのが特徴です。
筋骨格系の炎症は急性、慢性疼痛および神経障害性疼痛があります。
炎症性サイトカインIL-1、IL-2、IL-6は痛みとその強さに関係しています。
また、TNF-αも神経障害性疼痛の進行と関係していると考えられています。
変形性膝関節症に対する間葉系幹細胞あるいはその上清液の治療効果の一つとして、疼痛緩和が報告されています。
間葉系幹細胞は炎症性サイトカインIL-1βとTNF-αを抑制する事により、疼痛が緩和すると考えられます。
腰痛および椎間板ヘルニアの患者33人を対象として、間葉系幹細胞投与後6年間の追跡調査した報告があります。
その結果、ほとんどの患者に腰痛の軽減あるいは消失が認められました。
また、椎間板ヘルニアの患者20人中17人には椎間板膨隆が縮小していました。
神経障害性疼痛は末梢および中枢性感作による痛みに区別され、坐骨神経痛、頸椎痛、糖尿病神経症などであり、体性神経系に直接起きるものです。
神経障害性疼痛モデルを用いて、間葉系幹細胞投与による疼痛緩和が報告されています。
また、間葉系幹細胞の培養上清液投与でも、IL-6、IL-1B、TNF-αが減少し、慢性疼痛が緩和すると考えられています。
間葉系幹細胞が神経損傷を治癒したとの報告もあります。
青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範
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10)国際抗老化再生医療学会雑誌 第1号(1-20)2018 間葉系幹細胞による治療と抗老化 佐藤茂 劉效蘭
・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。