リンパ浮腫は完治が難しい疾患で、リンパ浮腫の治療法としては圧迫療法による対症療法が中心で、外科治療としてはリンパ管と静脈を吻合する方法やリンパ節移植が数多く行われています。
しかし、これらの治療で効果を得ることが難しい症例も多いのが現状です。
そこで再生医療の可能性が注目されてきています。
しかしリンパ管は構造が複雑で免疫機能にもかかわっており機能も複雑なため再生するのは非常に難しいと考えられています。
リンパ管新生に関わる因子としては血管内皮細胞増殖因子、 prospero-relatedhomeobox 1 など数多く報告されておりリンパ管再生にも関わっています。
骨髄単核球を投与し血管を再生する方法がありますが、これを応用してリンパ浮腫に対して投与し足関節周径が減少し、歩行が改善したとの報告があります。
また、血管やリンパ管の新生にかかわるサイトカインの産生を促す脂肪細胞由来幹細胞を用いたリンパ浮腫治療の報告もあります。
炎症性サイトカインのTNF-αの発現が高い場合は、抗リウマチ作用のある生物学的標的製剤が有用である可能性も報告されています。
リンパ浮腫で悩まれている方は多く、外科手術や対症療法で効果が得られない場合も多いため、幹細胞を使用した再生医療の研究が今後さらに進むと思われます。
青山メディカルクリニック院長
松澤 宗範
参考文献:
【リンパ浮腫治療update 2020】リンパ浮腫治療の最近の動向と新たな治療法Author:前川 二郎(横浜市立大学 医学部形成外科学)
Source: 形成外科 (0021-5228)63巻10号 Page1217-1222(2020.10)