がん治療エクソソーム

Medical team workers examining a medical report

最新の卵巣がんリスク検査

2017年にCraif 社の安井隆雄さんらは、尿中のマイクロ RNAが膀胱、前立腺、肺、膵臓、肝臓の5つの異なるタイプのがんのバイオマーカーとして有用であることを示しました。

また2021年4月には尿中マイクロRNAを調べることで、早期の中枢神経系腫瘍を100%の感度と97%の特異度で検出できることも示されています。

この検査は早期がんおよび治療後の微小残存病変の検出に役立つと考えられますが、尿中に検出されるマイクロRNAが、分子標的薬や免疫療法に対する患者の応答を予測する上でも役立つと考えられています。

例えば、血液中の遊離 DNAバイオマーカーの遺伝子の変化を検出することで、特定の変異を標的とする薬剤を患者に合わせて投与できるようになります。そして腫瘍を経時的にモニタリングできるようになります。

がんでのマイクロRNAの役割がさらに明らかになれば、新たな治療開発につながる可能性があります。

このマイクロRNAの検査は定期的なスクリーニングが行われていないがんや、血液バイオマーカーの感度があまり高くないがんの検出に大いに役立つ可能性があります。

例えば、卵巣がんは進行するまで見つからないことが多く、私の母も見つかった時にはすでに全身に転移しており手遅れの状態で、あらゆる治療を施しましたが命を落としました。卵巣がんは進行するまで症状が出ないことが多いため、予後が非常に悪いがんの1つです。

Craif社では卵巣がんの早期発見のための検査や、良性脳腫瘍と悪性脳腫瘍を区別することで医師が患者を層別化するのに役立つ検査の開発が進められています。

青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範

参考文献

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・Yasui, T. et al. Sci. Adv.3: e1701133(2017)
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