ヒト臍帯血由来の間葉系幹細胞のエクソソームは、急性心筋梗塞および心筋細胞低酸素障害のマウスモデルに対して心臓保護効果があると報告されています。
心筋障害を軽減するためのフェロトーシスの阻害における臍帯血由来の間葉系幹細胞のエクソソームの役割を研究した論文がCell Biology and Toxicologyに2021年2月に掲載されました。
低酸素誘発性損傷後の心筋および心筋細胞では、正常酸素群と比較して、DMT1の発現が有意に増加したことを示し、フェロトーシスが発生したことが示されました。
DMT1の過剰発現は心筋細胞フェロトーシスを促進し、DMT1のノックダウンではフェロトーシスが有意に抑制しました。
結論として、臍帯血由来の間葉系幹細胞のエクソソームは、DMT1の発現を抑制して、フェロトーシスを抑制し、心筋障害を軽減する可能性があります。
・フェロトーシス:
フェロトーシスとは鉄イオンに依存した脂質過酸化物の蓄積により引き起こされるプログラム細胞死の1つ。
・DMT1:
2価金属トランスポーターのこと。DMT1は、2価の金属と H+とが共役し、細胞内に金属を取り込むトランスポーター。
・RT-PCR:
RT-PCR(reverse transcription PCR)はRNAに対してPCRを実施する手法。
青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範
Song Y, Wang B, Zhu X, Hu J, Sun J, Xuan J, Ge Z.Cell Biol Toxicol. 2021 Feb;37(1):51-64. doi: 10.1007/s10565-020-09530-8. Epub 2020 Jun13.PMID: 32535745