気道上皮細胞由来のエクソソームの肺線維症に対する治療効果の検討が東京慈恵会医科大学と東京医科大学医学総合研究所にて行われました。
エクソソームは核酸をはじめ様々な分子を内包しており、細胞間情報伝達作用だけでなく、新たな疾患治療薬として注目されています。
気道上皮細胞は肺の恒常性維持や肺線維症のいずれでも重要な役割を担っています。
ヒト肺検体より分離培養した正常気道上皮細胞から回収したエクソソーム内には複数のmiRNAが多く存在しており、これらが筋線維芽細胞分化を抑制しました。
ブレオマイシン肺臓炎マウスモデルの検討では、経気道投与した気道上皮由来エクソソームが線維芽細胞に取り込まれ,肺線維化進展を抑制することが判明しました。
以上より、気道上皮細胞由来エクソソームの経気道投与が肺線維症の新規治療薬となる可能性が今後期待されます。
青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範
参考文献
[肺線維症 新規治療に関する基礎研究 気道上皮細胞由来エクソソームの肺線維症に対する治療効果の検討]
Author:門田 宰(東京慈恵会医科大学 内科学講座呼吸器内科), 藤田 雄, 荒屋 潤, 渡邉 直昭, 川本 浩徳, 伊藤 晶彦, 保坂 悠介, 市川 晶博, 橋本 典生, 皆川 俊介, 原 弘道, 桑野 和善, 落谷 孝広
Source: 日本呼吸器学会誌 (2186-5876)9巻増刊 Page139(2020.08)