【医師解説】がんについて ⑤自然免疫

ブログ 松澤宗範医師

体内に異物が侵入すると、すぐに自然免疫が対応します。マクロファージや樹状細胞は、異物を発見すると貪食します。そして、貪食した異物の一部である抗原を、ヘルパーT細胞に抗原を提示します。
NK細胞やNKT細胞もマクロファージや樹状細胞と同様に、異物を見つけると、すぐに攻撃を開始します。
NK細胞は、一匹オオカミの殺し屋とも呼ばれ、単独で行動し、異物に接着してパーフォリンやグランザイムなどのタンパク質の粒子を打ち込んで異物を攻撃します。
NKT細胞は、自然免疫と獲得免疫の両方の性質を持つリンパ球で、NK細胞と同じように非常に高い殺傷力で異物を攻撃できます。
そして、自然免疫だけでは対処しきれないときには、獲得免疫の出番となります。

        青山メディカルクリニック 松澤 宗範

参考文献:
・南野昌信 : ヤクルト本社中央研究所トピックス2 経口免疫寛容と腸内細菌叢アレルギー
56, 549-556, 2007
・坂口志文 : 制御性T細胞による新しい免疫制御法の開発免疫難病・感染症等の先進医療技術
・Gozdz J. Holbreich M. Metwali N, et al.:Amish and Hutterite Environmental Farm Products Have
Opposite Effects on Experimental Models of Asthma.Ann Am Thorac Soc.2016; 13 Suppl 1: 599
・伊東信久:がんと闘うN K T細胞標的治療

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