【医師解説】がんについて・今までの免疫療法について

ブログ 松澤宗範医師

・NK細胞療法

NK細胞を患者の体内から採取し、サイトカインを用いて活性化したあと、培養して数を増やして患者の体内に戻すという方法です。がん治療においては単独で使用するよりも抗がん剤と併用するなど、補助的な使われ方をすることがあります。

・活性化自己リンパ球療法

がん細胞の抗原を認識しているキラーT細胞を患者から採取して活性化したあと、培養して体内に戻す方法です。人工的に作られた抗原を使用することが多く、効果にはバラツキがあります。

・樹状細胞療法

がん細胞を抗原としてリンパ球に伝える働きが強い樹状細胞を患者から採取し、がん特異的抗原ペプチド、あるいは破壊したがん細胞とともに培養することで覚えさせ、樹状細胞のがんに対する免疫誘導能力を増強したあと、患者の体内に戻す方法です。

・がんぺプチドワクチン療法

がん細胞の表面には特異なペプチドが現れ、それがMHCクラスI分子とともに出ていれば、これが目印になってT細胞が攻撃するようになります。その働きを活発化させるために、がん細胞特有のペプチドを解析し、人工的に合成したものがペプチドワクチンです。これを患者に投与することで樹状細胞による抗原提示を促し、キラーT細胞の攻撃力を高める方法です。

・CAR-T療法

がん抗原を特異的に認識する抗体の遺伝子と、T細胞の活性化に必要な補助刺激分子を結合させた遺伝子を、患者から採取したT細胞にウイルスを使って組み込んだあと、体内に戻す治療法です。

これらの免疫療法はほんの一部ですが、NK細胞療法などが第1世代(1999年~)、樹状細胞療法などが第2世代(2005年~)といわれ、現在は第3世代に移っています。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

参考文献:

・南野昌信 : ヤクルト本社中央研究所トピックス2 経口免疫寛容と腸内細菌叢アレルギー

56, 549-556, 2007

・坂口志文 : 制御性T細胞による新しい免疫制御法の開発免疫難病・感染症等の先進医療技術

・Gozdz J. Holbreich M. Metwali N, et al.:Amish and Hutterite Environmental Farm Products Have

Opposite Effects on Experimental Models of Asthma.Ann Am Thorac Soc.2016; 13 Suppl 1: 599

・伊東信久:がんと闘うN K T細胞標的治療

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