【医師解説】美白について ・ハイドロキノン

ブログ 松澤宗範医師

ハイドロキノンは、肝斑、炎症後色素沈着、日光黒子、雀卵斑などの色素性病変に有効です。主な副作用は一次刺激や接触皮膚炎です。美白効果は高いですが、副作用に十分注意して使用する必要があります。ハイドロキノンは水酸化フェノールの一種で、欧米で肝斑治療の標準薬として使用されてきました。

① 作用機序について

・チロシナーゼ活性を阻害しメラニン合成を阻害

・メラノソームを分解

・メラノサイトに対する直接的な細胞障害

・ケラチノサイト由来のエンドセリン-1産生阻害作用

上記の作用によって美白効果をもたらします。

② 有効性について

Amerらは4%ハイドロキノンクリームの12週の使用で、50例の肝斑患者のうち89.5%が有効または著効を示し、プラセボに比べて 85.4%でハイドロキノンがより有効であったと報告しています。また Haddadらは、30例の肝斑患者に4%ハイドロキノンクリームを使用し、プラセボと比較してハイドロキノンがより有効であったと報告しています。

③ 副作用について

主な副作用は一次刺激や接触皮膚炎です。他に白皮症、尋常性白斑、組織褐変症、指趾末端や爪甲の色素沈着、稗粒腫、白内障がみられます。

また、2006年に米国のFDA はハイドロキノンによる組織褐変症と発がん性について注意喚起を行っています。1990年代に動物実験においてハイドロキノンの発がん性が確認されました。ヒトでの報告はいまだありませんが今後も注意が必要です。ハイドロキノンの妊婦における使用については奇形や他の副作用のリスクを増加させるとは言いきれませんが、経皮吸収を考えて明らかに安全性が確認されるまでは最小限の使用にとどめるべきです。

④ 使用方法について

1日2回洗顔直後に外用します。外用10~15分後から通常の化粧品を使用します。1か月程度の外用によって効果を判定し、2ヶ月外用しても効果がなければ中止します。サンスクリーン剤と併用するとなお良いです。休薬期間を設けながら使用します。

ハイドロキノンは美白効果が高いですが副作用も生じうるため正しい知識を持って適切に使用しましょう。

青山メディカルクリニック院長   松澤 宗範

参考文献

・川田 暁:美白治療,上出良一(編):匠に学ぶ皮膚科外用療法, 全日本病院出版会,pp122-126, 2012.

・川田 暁:ハイドロキノンの再評価. Aesthetic Dermatol, 25 (2) :79-83,2015.

・Amer M & Metwalli M: Topical hydroquinone in the treatment of somehyperpigmentary disorders. Int J Dermatol. 37: 449-450, 1998.

・Haddad AL, Matos LF, Brunstein F, et al: A clinical, prospective.randomized, double-blind trial comparing skin whitening complex with hydroquinone vs placebo in the treatment of melasma. Int J Dermatol. 42:153-156, 2003

・Bozzo P, Chua-Gocheco A, & Einarson A: Safety of skin care productsduring pregnancy. Canad Fam Physi, 57: 665-667, 2011.

・BEAUTY #29 vol No.4,2021

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