【医師解説】がんについて・腸は最大の免疫器官

ブログ 松澤宗範医師

腸は最大の免疫器官であり、約6割の免疫細胞が腸管に集結しています。また、腸管には免疫細胞を強化するパイエル板と呼ばれる場所があります。

パイエル板に病原体などの異物が近づくと、腸壁の内部に引き入れ、パイエル板にいる免疫細胞と接触させ撃退方法を勉強させます。

また、腸管免疫では有害な細菌やウイルスなどは排除し、食品や有益な腸内細菌などは排除しないように区別しています。これを免疫寛容と言います。

食物アレルギーを抑える仕組みは経口免疫寛容と言い、腸内細菌がいなければ誘導されません。腸管免疫は腸内細菌に助けられて発達しています。

腸管免疫は自己と非自己を認識し、有害なものか有益なものか、さらには菌などの種類も判別し、腸管免疫が正常に働くように調節しているのです。

青山メディカルクリニック 松澤 宗範

参考文献:

・南野昌信 : ヤクルト本社中央研究所トピックス2 経口免疫寛容と腸内細菌叢アレルギー56, 549-556, 2007
・坂口志文 : 制御性T細胞による新しい免疫制御法の開発免疫難病・感染症等の先進医療技術
・Gozdz J. Holbreich M. Metwali N, et al.:Amish and Hutterite Environmental Farm Products HaveOpposite Effects on Experimental Models of Asthma.Ann Am Thorac Soc.2016; 13 Suppl 1: 599
・伊東信久:がんと闘うN K T細胞標的治療

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