【医師解説】NKT細胞標的治療について ・αGalCerとは

ブログ 松澤宗範医師

NKT細胞標的治療で重要な役割を担う物質はアルファガラクトシルセラミド(αGalCer)です。

αGalCerは海綿の一種から抽出した抗腫瘍活性を有する天然化合物で、T細胞の一種であるNKT細胞を活性化し、サイトカインの産生を誘導するスフィンゴ糖脂質です。

αGalCerは樹状細胞に発現するCD1dと複合体を形成し、NKT細胞を活性化します。そして、樹状細胞のCD1dとαGalCerを結合させるには、体内から樹状細胞が成長する前の段階の単球を取り出し、単球を体外で成熟させてαGalCerと結合させ、患者の体内に戻す必要があります。

αGalCerを抗原提示した状態の樹状細胞を体内に戻すとNKT細胞が結合して覚醒し、がん細胞を攻撃するようになります。

青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範

参考文献
・谷口克監修「NKT細胞標的がん治療とは | 新しい免疫療法の臨床試験と期待」
・理化学研究所「記憶免疫機能を持つナチュラルキラーT(NKT)細胞を発見 | 長期間生存し、2度目の抗原侵入に強力に反応―」2014年8月9日
・伊東信久:がんと闘うN K T細胞標的治療

・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。

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