マクロファージや樹状細胞とリンパ球の間、あるいはリンパ球同志はサイトカインという物質を用いてお互いに連絡を取り合っています。
サイトカインは生理活性物質とも、情報伝達物質ともいわれ、免疫応答や炎症反応、造血反応などの生体機能を制御する働きをしています。
例えば、ウイルスが侵入したとき、マクロファージや樹状細胞がウイルスを食べて処理をしようとします。しかし、ウイルスが強い場合はインターロイキン1(IL-1)というサイトカインを放出し、ヘルパーT細胞が活性化します。
活性化したヘルパーT細胞は、マクロファージや樹状細胞が抗原提示したウイルスなどの情報を確認すると、インターフェロンガンマ (IFN-γ)というサイトカインを作ります。これは、マクロファージや樹状細胞の働きを強化させる物質です。
また、サイトカインには「炎症性サイトカイン」と「抗炎症性サイトカイン」があります。これらはアクセルとブレーキの関係にあり、一方が炎症を引き起こし、もう一方がそれを抑えています。
通常は両者のバランスが取れており、不都合が起きないように制御されています。しかし、このアクセルとブレーキのバランスが崩れ、炎症性サイトカインが過剰に放出されると自己免疫疾患などを引き起こすことがあります。この現象を「サイトカインストーム」といいます。
青山メディカルクリニック 松澤 宗範
参考文献:
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・伊東信久:がんと闘うN K T細胞標的治療