これまでの免疫療法は単に免疫細胞を活性化したり数を増やしたりして免疫力を強化する方向での研究が盛んに行われてきました。しかし、第4の治療法として認知されるだけの効果を得るには至っていません。
そもそも免疫細胞に限らず私たちの細胞には寿命があり、白血球の場合は血管内からどんどん組織に出ていきますから、その寿命を正確に測定することは難しく、数時間から数日と推定されています。
免疫のアクセルを踏む治療法の多くは、攻撃部隊となる免疫細胞を患者から採取して体外で活性化して培養し、数を増やしたあとに体内へ戻す方法が取られてきました。そうなると体に戻した時点がピークとなり、免疫細胞の攻撃部隊はほとんどの場合で2時間以内に死んでしまいます。
さらに、培養した免疫細胞はがん組織への目印を失ってしまうことがあり、多くはがん組織に到達できません。仮に到達したとしても免疫不全の状態になっていて、本来の力を発揮できません。
青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範
参考文献:
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・坂口志文 : 制御性T細胞による新しい免疫制御法の開免疫難病・感染症等の先進医療技術
・Gozdz J. Holbreich M. Metwali N, et al.:Amish and Hutterite Environmental Farm Products Have
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・伊東信久:がんと闘うN K T細胞標的治療